等々力警部が現場に到着するよりも早く、新人の吉岡巡査が、ヘルメットを被って、すでにアパートの２階にいて、手を振った。

｢警部！　こっちです！｣
等々力警部は、階段を駆け上がった。
吉岡巡査は、敬礼をしてドアを指さした。

｢ここです｣
｢おお、ここが問題の部屋か・・・・・・｣
｢はい｣
｢ヘルメットまで被って、準備いいじゃねえか｣
カギはすでに開いていて、ドアの隙間から、部屋の中の様子がうかがえる。

｢警部・・・・・・どうします？｣
｢どうしますったって、入るしかないだろう｣
吉岡巡査は、警部の後ろについた。

｢お前、先に行けよ、バカ！｣
警部が、吉岡巡査の襟をつかんで、前にやる。
｢だ、だめなんですよ。　こういうの！　ヘルメットお貸ししますから、警部、先に行ってくださいよ！｣
｢何言ってんだ。俺みてえな叩き上げのデカと違って、おめえは、エリートだろ。・・・・・・行け！｣

吉岡巡査は、摘まみあげられて、部屋の中へ押し込まれてしまう。
しばらく、新人エリート警官の腕前を見物してやろうと、等々力警部は腕組みをして、外で待っていた。

｢やったあ！｣
中から、突拍子もない叫び声が聞こえてきた。
その声を聞いて、警部が、問題の部屋に突入する。

｢全問正解です！　警部！｣
そこには、問題の部屋で、はてなマークを掲げたヘルメットを脱ぎ捨て、ガッツポーズを決めている吉岡巡査がいた。

司会の福留アナが、吉岡巡査に向かって叫ぶ。
｢ニューヨークへ行きたいかあぁぁぁ！！！！｣



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