和田 周作(60歳)2011-03-09


【昼】

サラちゃん、サラちゃん。
エッチな腰つきサラちゃ~ん。
歳の差カップルぷーるぷる!

「サラちゃん、おっはよう!」
起きがけにおっぱい揉んじゃおうっと!

「どーぶらぃえ うーとら! キャ! 旦那、ナニスルネ~。ワタシノ、バスト&ヒップ、モミモミ、1タイム1万円ヨ!」

そうだったあ。
夫婦だってのに、おっぱいもケツも有料だったんだ。
だけど、パツキン女房には、勝てねえ。

「サラちゃん、100万あげるから、100回触らせてくれー」
「ウレシ! 100万円ネ! ダケド御客様来テルデヨ」

なに?
こんな朝っぱらから、夫婦の営みを邪魔する不届き者はどこのどいつだ!
「誰だ!」
「あ、先生、おはようございます。編集の諸星です。原稿をいただきに参りました」

ううう、そうだった。
昨日が原稿の締め切りだったんだ。
し、しかしまだ1行も書けてない。

小説というものが、一般大衆化されてしまうと、こういう締めきりという極めて、デリカシーのない時間制限が設けられるから、困るんだ。
わしの書く小説は、あくまで芸術なんだ。
ドストエフスキーのように、壮大で、感動的、そして荘厳な世界観なんだよ。

「諸星くん、もう少し待ってくれんかね? 今、すごく大事なところを加筆修正中なんだ」
「先生、たかだか800字程度のコラムですから、なにもそこまで・・・・・・」

これだ、これが編集者の浅はかさだ。
時間と、金。
それが全てなんだ。

売れる物を短時間でちょいちょいと書ければいいという、そういう考えだから、電子書籍のようなものが、出回ってしまう。
本というものは、それぞれに重みがあって、めくったページの手触りと、文字の印字が、内容に大きく影響を与えかねないデリケートな物なんだよ。
それを「だかだか」とは、なんたる失敬な!

「諸星くん、君ねえ、わしが長編作家だってこと、忘れちゃ困るよ。いくら短い文章だといっても、構想はキチンとだね~」

「わかりました。じゃあ、ここで待たせてもらいますんで、原稿のほう、よろしくお願いいたします。朝の編集会議に載せなきゃならないもんで」

まったく、けしからん!
夫婦生活も邪魔され、芸術は汚され、わしの名声をコイツは知らないわけないというのに。

「旦那、約束ノ100万円クレタラ、バスト&ヒップ、モミモミ大サービスネ!」
サラちゃん!
うおおお!

「しかし、こんな所では、できんよ。どこか別の場所でしようじゃないか」
「オウ! ソレジャ、私、宇宙旅行シタイダヨ」
宇宙で、くんずほぐれつか~。
いんでないかい?
いんでないかい?
むっしっしっしし!

「よし、サラちゃん、宇宙へ行こう! すぐに原稿書きあげるから、待っててちょーよ」
がぜんやる気が沸いてきたぞ!
芸術的興奮が、わしを奮起させる!

4年前にわしの名作『ハゲだらけの街』で受賞した『ハッピー文学賞』の受賞記念にもらった万年筆で、今回は特別に執筆してやる。

≪私の住んでいる街で、一番おすすめの食堂は、案外目立たない所にある。細い路地を通って・・・・・・≫
・・・・・・ダメだ。

か、書けん。
ちくしょー!

こんな時は、気分転換に公園へ行って、頭をクリアにしよう。
そうすれば、なにかすばらしい修飾語が思いつくかもしれん。
文学はムーブメントだからな。

「サラちゃん、わしはちょっと散歩に出かけてくるよ。諸星くんのことは、無視しててかまわんからな」
「びりぎーちぇ せびゃー! イテラサーイ!」

行ってきますのディープキスをしてやろう。
「サラちゃん、キスは?」
「旦那~、キス1回、3万円ヨ」
くっそー!

「300万円やるから、100回頼む!」


【昼】


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コメント

_ haru ― 2011-03-10 20時54分47秒

和田周作って、単なるスケベおやじかと思って読んでいたら、
それなりに結構「違いのわかる男」かもーって思うふしも。。。
でも、やっぱ単なるスケベおやじ??!!

それにしても、スゴイ年の差夫婦。
まるで専属キャバ嬢が自宅にいるみたいねー。

まだ、朝だけど……和田さんちの夜も、ヴァッキーノさんは、書く気でいるの?
○×#△××><xx;:;……。

_ haruさんへ ― 2011-03-10 21時31分58秒

>単なるスケベおやじか
>違いのわかる男

和田先生は、作家なわけですけど、昔の栄光と印税で生きてるような人間なんです。
奥さんは外人ですね。
お金をばら撒いて、人間関係をつなぎとめているような、そんなアホな小説家です。
そのくせ、800字くらいの原稿もろくに書けないんですよ。
ですから、きっとharuさんの言うとおり、ただのスケベおやじなんでしょう。

>和田さんちの夜
もちろんです(笑)

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