【朝】

ロンドン・コレクション、ミラノ・コレクション、ニューヨーク・コレクション、東京コレクション。
どれもこれも、すごいわね。

どうして世の中には、こんなに洋服が溢れているのかしら？
そして、街を歩けば、洋服たちが、私に着てほしいと手ぐすね引いて、ウインドーの奥で待っているのよ。

こうして洋服に囲まれて、朝を迎えられるなんて、なんて清々しいの！
こんなことなら、出版会社になんか勤めないで、アパレル系の店ででも働けばよかったわ。

でも、いいの。
洋服は、パパ社長がいくらでも買ってくれるから。
パパ社長のとこで、大人しく働いていれば、給料ももらえるし、愛人契約料の他に、洋服やバッグも買ってもらえるもんね。

でも、パパ、最近どうも羽振りが悪いわ。
会社への雑誌の返品も多くなってきたし・・・・・・。
洋服だって、先月は２着しか買ってくれなかった。

もしかして、ウチの会社って、ヤバイのかしら？
出版業界はどこもジリ貧だって言ってたし。

・・・・・・いつまでも、パパ社長の愛人やってないで、そろそろ見切りをつけて、新しい金持ちのパトロン探す時期かも。

男なんて、バカでスケベだから、ちょっと愛想振りまけば、すぐに貢いでくれるわ。
若い女の魅力に、骨抜きになっちゃうんだから。

バカの相手なら、簡単よ。
だけど、お金がないバカはダメね。

お金があって、バカでスケベで、ケチじゃない男を見つけなきゃ。
そのためにも、プロポーションの維持は大事よね。
オシャレな洋服が似合わなくなったら最悪だから。

今度は、ドルチェ＆ガッパーナのワンピが似合う女になりたいわ。
イタリアのバカでスケベな男どもを虜にするような。

うふふ。
パパ社長と、まずは関係を終わらせなきゃ。
ゴタゴタに巻き込まれたくないもの。

さ～て、イヤだけど、こんな地味な格好で、今日も会社へ行こうっと。


【昼】


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