増田 陽子(46歳)2011-06-13


【朝】


私は、陽子。
太陽の陽子よ!
悲しいことがあっても、どんな困難があっても、
太陽のように、明るく人々を差別なく照らす。
そんな人になって欲しいって願いをこめて、母さんが名付けてくれたのですもの。
その名に恥じぬよう、今日も明るく生きていこう!

今日の予定はっと。
・・・・・・今日は、ワイン教室ね。
見栄っ張りの集まりみたいで、イヤだけど、笑顔笑顔。

あ、そうだ。
加藤さんのことも誘っちゃったけど、あの連中の中に入って、大丈夫かしら。

あら、もうこんな時間。
梓に朝ご飯食べさせないと。

「おはよう梓、朝ご飯よ」

「・・・・・・おはよう・・・・・・」
「どうしたの? 梓、どこか具合でも悪いの?」

「ママ、このままだとわたし、狂いそうよ」
梓、なんかこのごろ変よ。
顔色は悪いし。

やっぱり勉強させすぎなんじゃないかしら。
パパのおっしゃるとおり、たしかに学生は、学業が本業なのはわかるけれど、梓だって、こんなに勉強勉強じゃ、ストレスも溜まるわよ。

私まで暗くなってちゃダメね。
梓のこと励まさなくちゃ!
太陽の陽子だもの。
「今、がんばれば、大人になってからパパみたいに偉くなれるのよ、梓」

「わたし、偉くなんてなりたくない! 普通に遊びたい! ママまでそんなこと言うの? だったら、わたしこんな家出て行くから!」
出て行く?
急に叫んだりして。
やっぱり、パパの行き過ぎたスパルタのせいね。

「ママ、わたし、もう昨日の夜中から、12時間も机に向かってるのよ。tyっとでも、席を離れたら、センサーが作動して、パパが乗り込んでくるんだから! もう、イヤ! こんなの異常だわ!」

「・・・・・・そうね。パパ、ちょっとやりすぎよね。部屋中に監視カメラなんか設置して」
パパに言って、梓を監視するのをやめさせよう。
自分の娘を監視するなんて、おかしいもの。

「パパなんて、いなきゃいいのよ! あんなヤツ、死んじゃえばいいんだわ!」

「梓、そんなこと言わないで。パパだって、梓のこと憎くて言ってるわけじゃないんだから。・・・・・・あ、それに今日は、いとしの佐野先生が勉強教えに来てくれる日じゃないの。・・・・・・がんばろう、ね?」
梓も、青春なんだから、佐野先生ともっとハッスルすればいいんだけど。
だって、家庭教師と生徒の仲なんて、なんだかいいじゃない。

「こら、梓! なにさっきからボンヤリしとるんだ。ボンヤリする時間があったら、英語の単語のひとつやふたつ覚えられるだろ! 時間は待ってはくれないんだぞ」

「パパ!」
「パパじゃない! ママまで勉強の邪魔をしとるのか! この世は学歴だ。いい大学に入るためには、寝ても覚めても勉強だぞ!」

「あなた、そんなに梓のこと縛り付けなくいても、梓はちゃんとやってますよ」
「お前に何がわかるっていうんだ。梓のことは、抽象的にではなく、実質的に見ているんだぞ、俺は」

「監視するのは、やめてくださいよ。梓だって、だいぶストレス溜まってるんだから」

「パパなんて大嫌い!」
「なんだと? 梓! ちょっと待ちなさい!」

梓!

どうしたらいいの?
困ったわ。

私は太陽の陽子。
明るさだけで、乗り切れるかしら。


【昼】


本日も、読んでいただきありがとうございます。
ヴァッキーノは、にほんブログ村の村民です。
1日1回、ポチッとクリックしていただけたら、大喜びです。
     ↓
にほんブログ村 小説ブログ ショートショートへ
にほんブログ村

コメント

_ りんさん ― 2011-06-13 19時18分30秒

朝の連ドラの陽子ちゃんとは、ちょっと違うなあ。
でも、この人もきっと明るいんだろうな。
「もっとハッスルすればいいのに」
ふふ…ハッスルだって。久しぶりに聞いたなあ。
陽子さん、若いころはハッスルしてたんでしょうね。
梓ちゃんも勉強ばかりでかわいそう。
そうそう、佐野先生といい仲なんですよね。
駆け落ちとかしなきゃいいけど…

_ おりんさんへ ― 2011-06-13 20時17分48秒

朝ドラの陽子とは、まったく違う雰囲気ですけど
同じ名前だと、その気になっちゃうんでしょうなあ。

>ハッスル
昭和の死語に食いついていただきありがとうございます!(笑)
平成になって、こういうアバンギャルドな語彙が少なくなっちゃいましたね。
って、きっとたくさんあるんでしょうけど
吸収できないだけかも・・・・・・。

_ haru ― 2011-06-13 21時25分02秒

お久でーす。っていっても、そうでもないか??
いつも、うるさすぎるくらい来ていたような……。気のせいかなあ?

こうなってくると、梓ちゃんのパパの画像が楽しみになってきました。どんな顔かな?
看護師の加藤さんも、レストランMUSEのワイン教室へ夜勤前に行くつもりでいる。
……そうなると、お昼のレストランMUSEのワイン教室ってそうとう大変な事が起こりそうな予感が。
ヴァッキーノさん大丈夫かなあ。女の見栄と嫉妬をどう書くつもりかな?
ふふふっ!楽しみですね。男性の目線で描く女たち。

もちろん気持ちを入れるために、その時は、女装して書くんですよね!
つわもの揃いのワイン教室(シメシメ私も勉強させてもらおっと。。。)

_ haruさんへ ― 2011-06-13 21時34分00秒

haruさん、なかなか顔を出さないから、どうしちゃったんだろう?
って心配してましたよ、少しだけ。

>レストランMUSE
けっこうな数の人間が行きそうな予感ですねえ。

>気持ちを入れるために、その時は、女装して書く
ああ、しまった普段からブラジャーしてるから
そういう時は、逆にフンドシだ!
赤いやつ。

_ もぐら ― 2011-06-14 01時07分37秒

ワイン教室 島のほとんどの女性が出席なんじゃないですか?
すごいなー。ウハウハやなー。
ハァー ハッスル!ハッスル!

あかん。この時間は おかしなる魔の時間や。堪忍やで~。
(ヴァッキーノさん 関西弁あんまり好きちゃうかったっけ?( ̄ー ̄))

_ 矢菱虎犇 ― 2011-06-14 02時02分07秒

あ、女子会。
隅っこのほうで飲んでいよう(笑)

にしても、凄いですねぇ。高度成長時代みたいな教育パパママっぷりがなんとも懐かしい感じです。教育ってゆとりが大切って言ってみたりいやいや学力が大切って言ってみたりで、ずっと揺れ揺れしているから、こういう時代がまた来るんじゃないかなぁ。

_ 海野久実 ― 2011-06-14 16時43分57秒

いまだ登場していない増田康隆さんはほんと、異常ですよね。
彼は職業は何なんでしょうね。
まさか教育者ではないでしょう。
こんなバカなことをやって優秀な娘に育てようなんて、長続きするはずのないは解りきっていますよね。
あれ?なんかちょっと本気で憤っているかな、僕。
いずれにしても、こんな事やってるとアジャパーになっちゃいますよ。

_ もぐらさんへ ― 2011-06-14 21時41分43秒

だいたいにして、
このミツルって男は、手広く教室をやりすぎてるんですよね。
ワイン教室のあとは、ダンススクール。
10人くらいいるのかなあ。
いないのかなあ。
収拾つかないんだよなあ。。。(笑)

_ 矢菱さんへ ― 2011-06-14 21時49分45秒

>女子会
あ、矢菱さん、隅っこはボクも座ろうかと・・・!
いすを半分こずつにして座りましょうよ。
置物みたいにして、完全に気配を消して。
できるだけ、目立たないように。。。

>こういう時代がまた来るんじゃないか
そうですよね、時代は繰り返す。
なんせ、幸福操作官の舞台は、2108年ですから。

_ 海野さんへ ― 2011-06-14 21時52分45秒

海野さんの怒り心頭に発すて感じのコメント
ありがとうございます!
親への反抗心ってのは、おっさんになった今でも
ボクはあるんです。
永遠の反抗期って妻には、言われます。
そういう反抗の投影でもあるんですよね。
海野さんも、もしかしてそうですか?

トラックバック