三村 千夏(22歳)2011-07-28


【朝】

【昼】


「三村巡査、出勤しました!」
「おはよう。今日も厳正な勤務をよろしく頼むよ」
「了解!」

はあ、厳正な勤務っていっても、ここに赴任してきてから
一度も事件に遭遇したことないんだよね。
まあ、選ばれた100人しかいない島だから、しょうがないけど。

本土じゃ、内線が勃発してるっていうから、警備とか大変らしいけど。
こっちは、ピストルに弾が入ってるわけでもないし。
平和っていいよねえ。

「三村巡査、今日の予定は?」
「今日でありますか? 今日は、半日で終了であります」
「7月分の報告書を来週、本部に提出しなきゃならないから、まとめておいてくれ」

「あ、はい。了解!」
報告書ね。
項目の1〜7まで、『異状なし』の印をついてっと。
あとは、戸塚部長から、決裁をもらえば出来上がり〜。

「戸塚部長、決裁お願いします」
「なんだ、三村巡査、もう出来たのか」
「はい」

「・・・・・・ところで、三村巡査」
や、やべ!
部長の自費出版本の感想か?
どうしよう。
全然、読んでないや。

「な、なんですか?」
「・・・・・・実は、わしの娘が、今夜、結婚相手を連れてくるというんだ」

ふう。
助かった。
って、えー、部長の娘さんって、結婚するんだ。
すごいなあ。
「おめでとうございます!」
「おめでたくもないんだよ。どうやら、娘とかみさんとで、わしにずっと内緒にしておったんだ。結婚を前提に付き合ってるなら付き合ってると、言えばいいもんじゃないか」

部長みたいな、頑固一徹男にそう簡単に言ったって、はいそうですかなんてことには、ならないと思うけど。
「娘と母親の結束は固いですからね」

「こういう時、父親ってのは無力だな。今まで、一生懸命育ててきたっていうのに、あっさりと知らない男にもっていかれちまうんだから」

なんか、部長、寂しそう。
やっぱ、どこの父親も、そういうもんなのかな?
慰めの言葉なんて言っても、余計逆効果だったりするから、
ここは、笑顔で。
「まあ、部長、ここは女に任せましょう!」
「・・・・・・ああ、そうなんだけどな」

「いつもの戸塚部長らしく、デン! と構えていれば、いいんですよ!」
結婚っていえば、彩子、大丈夫かな?
もし、彩子の身になんかあったら、絶対許さないから!

「あ、そうだ、三村巡査。ところで、わしの本、どうだった? よく書けてただろう? 率直な感想を聞かせてくれないか?」

キタ━━━゚(゚´Д`゚)゚━━━!!


【夕】


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コメント

_ りんさん ― 2011-07-28 09時40分03秒

この島って選ばれた100人が住んでるんですか。
拾人が100人しかいないってことですね。
そうか…。だから101人目が問題なんですね。
面白くなってきましたね。
千夏ちゃん、活躍しそうですね。

_ りんさん ― 2011-07-28 09時41分57秒

すみません。入力ミスです↑
拾人→住人 でした。ミスなのにダジャレっぽくて笑えます^^

_ haru ― 2011-07-28 10時15分52秒

昼の状況が始まると、人間関係のつながりが膨らんできますね。
朝のウチは個々に見る感じだったのが、つながり出てきて、個人ではなく情景も一緒に見えるような気がします。これは、ヴァッキーノさんのおっしゃる長編に少しずつ移項して行く感じ
その、目撃者になれそうだ。(o^-^o)オモシロイデス!

_ おりんさんへ ― 2011-07-28 20時45分25秒

>拾人が
どんな変換ミスなんすか(笑)
でも、ある意味、この物語全体の核心をついた
言葉かもしれませんね。
納得納得。

_ haruさんへ ― 2011-07-28 20時48分55秒

haruさんのコメントが、物語の今後を変えていくかもしれません。
ボクは当初、いただいたコメントによって、物語の成り行きを
どんどん変えていって、読んでくれる方々が幸福操作官だっていう
設定を考えていたんです。
でも、もし誰も読んでくれなかっらって思ってやめました。
そういう感じなので、haruさんも幸福操作官として
どんどん参加していただけたら、うれしいです。

_ haru ― 2011-07-28 21時53分22秒

へぇ~。。。良いのですか?!。。。 ヤッター!コメント入れまくりしちゃおっと (爆)

_ haruさんへ ― 2011-07-28 22時02分17秒

アハハハハ。
よろしくお願いいたします。

_ 矢菱虎犇 ― 2011-07-29 02時45分37秒

家人の見ているお父さんより、職場のお父さんのほうがフツーな感じがしますねぇ。テレビの上の日本刀を振り回したりしそうにない・・・
それにしても自費出版本って面白くないのが多いですよね。ボクは病院の待合室に置いてあった地域のことなど書き綴った自費出版の本を読んだんですよ。前半数十ページは面白かったなぁ。地域のお地蔵様の由来とか、溜め池が造られた経緯とか。地域の知られざる歴史みたいな感じで。でも、後半は、ほぼ書き手の思い出話。ホント、たいくつで・・・。チビッコの頃、ジイさんバアさんの思い出話が退屈で仕方がなかった、あの感覚(笑)

_ 矢菱さんへ ― 2011-07-29 06時13分29秒

>自費出版の本
日記なんかが、自費出版されてるのを見ると、これのなにが面白いんだ?
って思っちゃうんですよね。
自分では、本を一冊出版したような気になって、
作家気取りなのかもしれないけど、
自費っすもんね。
スナックのカラオケと同じな感じですね。
金を払って、読んでもらう。
金を払って下手な歌を聞いてもらう。

でも、名作「茶色の朝」ももともとは自費出版ですけど。
たまにはそういうのもあるんですね。

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