【朝】

【昼】


髪、切りたいなあ。
でも、美容室に行くお金ないし。
隆志、結構ヘアスタイルとかに詳しいから、今度どんなのが合うか聞いてみようかしら？

で、いっそのこと、隆志に髪を切ってもらうってのもどうかな？

・・・・・・あ、本土のミヨコからメールだ。

≪ひさしぶり～。ねえ、今度、遊びに行っていい？≫

借金まみれの差し押さえだらけなウチにこられたら、困る！

≪バーチャルで会えばいいじゃん≫

≪えー。麗子みたいな金持ちの家で久しぶりに優雅な気分味わいたいんだよ～。来週あたり、シェルターから一時帰宅できるらしいからさ≫

≪ゴメン、でも、マジでダメなんだよ≫

本土も大変なのはわかるけど、ウチはダメ。
シェルターの方が、援助物資とか配給されるから、よっぽどマシだもん。
ああ、わたし、どうしたらいいの？

あら？ 桜子さん、具合悪いのかなあ。

そっか、また早弁か。
あの子も、スゴイなあ。
授業中に抜け出してまで、食べたいだから。

なに？
またメール。
今度は？

・・・・・・隆志！

≪夕方、展望台に来てくれる？≫

夕方か。
帰ったら、すぐ内職のフィギア作りしなきゃならないからなあ。
今日中に１００体。

後藤みづきのフィギア。
あんなの、買う人いるのかしら？
１００体あったら、島の全員に配れちゃうじゃない。

≪ゴメンね。夕方はお稽古があるから≫

ああ、また隆志にウソついちゃった。
これ以上隠しておくわけにはいかない。
言わなきゃ。

勇気を出して。
借金で、ダメだってこと。
・・・・・・よし。

≪わたし、夜なら、空いてるケド≫

≪それじゃあ、夜会おう。麗子とゆっくり話がしたいんだ≫

≪わたしも≫

これが、最後のデートになるかもしれない。
わたしの秘密を知ったら、隆志は、わたしから去っていくに決まってる。
それでも、仕方ないわ。

少なくとも隆志には、秘密を作りたくない。


【夕】


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