プレゼント(『ボッコちゃん』より)2010-11-22


この箱、何だと思う?
・・・・・・僕ね、これ見てたら、思い出すことがあるんだよなあ。
小学校の5年生か、6年生のころなんだけど。
友達と、みんなでクリスマス・パーティをやろうって話しになったわけ。 それでさ、まあ、小学生のパーティだから、たかが知れてるんだけど、そこはそれ。

僕の友達は・・・・・・何人くらいいたんだろう?
えーと、板金屋のノボルでしょ、それから6年の時転向して行ったアツシ。
この2人と僕とで、いつもツルんで遊んでたの。

それから、ホテルの御曹司のショウタ。
コイツは絶対に外せないんだよ。なんて言ったって、お小遣いが1万円だったんだ。小学生のガキんちょが1万円だよ。
ショウタんちは、新進チェーン店のオーナーもやってて、そこの唐揚げスペシャルを山盛り持って来たんだ。
パーティが盛り上がるだろ?

あと、女の子もいたね。
豆腐屋のメグちゃん。
ピアノが上手なミツコちゃん。
それから、僕が密かに好きだったユミちゃんね。
ユミちゃんは、かわいかったよ。
転校生でさ。頭もよかったんだ。
・・・・・・その話は、また後でするとして。

えーと、メンバーは、そんな感じかな。
それで、みんなで近所のスーパーや、文房具屋さんなんかに行って、いろんなものを買ってさ、パーティの準備をしたんだよ。

僕は、ほら、会場が僕の家だったから、ケーキは用意したんだ。
飲み物もね。
で、時間になって、みんなが集まって来た。

奥の和室に、家で一番大きなテーブルを持ってきて、あとは飾り付け。
紙テープを壁に貼ったり、コップや皿を置いたり。
そういう一連のことをして、さていよいよクリスマス・パーティ。

ノボルとアツシは、相変わらずふざけてプロレスごっこしてて、メグちゃんとミツコちゃんは、食べ物の用意を手伝って、ユミちゃんは、ホテルの御曹司とプレゼント交換のくじを作ってた。
みんな三角の帽子を被ってさ。

いよいよクラッカーが手渡された時、母親が僕を呼びにやって来たんだよ。
お友達が来たって。
それで、僕は玄関へ行ってみた。
・・・・・・誰だろう?

外は、雪が降っていて、雲が黒く垂れこめていた。
たぶん、まだ夕方前だったと思うけど、ずいぶん暗かった。
玄関には、ブスのカトーが立ってた。

僕は、カトーなんて呼んでない。
だけど、カトーはそこにいて、私も仲間に入れてっていったんだ。
準備も終わって、なにもかも整った時、カトーは図々しくやってきた。
僕は、ブスのカトーが嫌いだった。

太ってて、ニキビだらけで、げじげじ眉毛。
おかっぱ。
そんな感じの子だった。

僕は、当然、イヤだと断った。
お前は、パーティに呼んでないと。
カトーは、泣きそうな顔で、僕にお願いした。
プレゼントも持ってきたっていうんだよ。

もう、半べそ。
それでも僕は、かたくなに彼女の願いを拒んだ。
カトーは、ついに悔しそうに泣いてしまって、それで、持ってきた包みをビリビリ破って、プレゼントの箱を取り出すと、それを僕めがけて投げつけたんだ。

プレゼントは、玄関のドアに当たって、床に落ち、カチっといって開いたんだ。
ブスのカトーは、僕の反応とことの成り行きを確かめると、走って帰って行っちゃった。

床に落ちていたのは、オルゴールだった。
あまりの突然の出来事で、なんて曲か、もう覚えていないけど、なんかこれ見てたら思い出したんだ。

あ、これ?
これはね・・・・・・オルゴールなんだけどさ、僕のじゃないんだ。
・・・・・・うん、店の外のすぐんトコに落ちてたんだよ。そこの角の、植木のそば。
誰かが、クリスマス・プレゼントにしようとして買ったものかもしれない。
もしくは、誰かがそれを捨てたものかもしれない。

それはわからないけど、
まあ、どんな曲が流れるか・・・・・・。
ちょっと、ねじを巻いてみよっか。



このお話の続きはharuさんのブログ「ゆっくり生きる」でどうぞ!


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コメント

_ tatsu ― 2010-11-22 18時31分22秒

ヴァッキーノさんが時々書く少年時代の純愛物語
いいっすね。

ヴァッキーノさんの純粋さがそのまま現れているようです。

写真は昭和の香りが漂いますね。

_ tatsuさんへ ― 2010-11-22 18時46分28秒

ボクは、いつも、どうやら自分は小学生の時に人生の勉強の大半をしてしまったんじゃないかって思うんです。
エッチはさすがにしてませんけど(笑)
なんでかって言うと、中学生の記憶がほとんどないわけなんですよ。
tatsuさんも、まだまだ少年ですよね~。

_ haru ― 2010-11-22 19時34分49秒

こんばんは。初めまして。。。虎犇さんのblogからおじゃまさせていただきました。
記憶の中に閉じこめたオルゴールが、生き返りましたね。クリスマスと共に。
小さな痛みとなって。人はそれを郷愁と呼ぶのでしょうか?それとも
哀愁と呼ぶのでしょうか。。。

_ Madamme Garden ― 2010-11-22 19時43分17秒

こんにちは。私のブログのほうにいらしていただいたとのことなので早速偵察に来ました!すごい企画ですね。

星新一未読ってほんとですか?私は結構読みましたよ。大昔の中学生のときに。

_ haruさんへ ― 2010-11-22 19時49分22秒

はじめまして!
こちらにもお越しいただけるなんて、ありがとうごぜーまっす。
矢菱さんって人はスゴイっすよね。
面白くって、質の高いショートショートをあんなにいっぱい書いてンですから。

今回は、そんな矢菱さんが立ちあげたクリスマス企画に、書いてみました。
どうなんでしょうねえ。
今後とも、ヴァッキーノをよろしくお願いしま~す(笑)

_ Madamme Gardenさんへ ― 2010-11-22 19時58分56秒

はじめまして!
いやあ、Madamme Gardenさんはなんとも、ゴシックホラーっぽくていいんですよねえ。
それで、お邪魔しちゃいました。

>星新一未読ってほんとですか?
そうなんですよ。
でも、ショートショートを書く人の中には、星新一を神様みたいに崇めてる方もいらっしゃるので、どんなもんかなあ?と、いうことで
この際、ショートショート書くなら、星新一をやっつけてしまおう!
神は死んだ!ってことで、やってます。

こんな不謹慎なブログですけど、またよろしくお願いします!
で、ものはついでに、どうですか?
クリスマス競作企画、参加してみませんか?(と、強引に誘ってみる)
詳細は、右のコメント一覧の下にあるサンタさんの格好したピングクロスビーの画像をクリックしてみてください!

_ 星鉄 ― 2010-11-22 23時12分37秒

ふと、どうしてあの時こうしたんだろう?できなかったんだろう?って思うことがあります。
小さな後悔っていうんでしょうか?
きっとそんな小さな出来事の積み重ねで、今の私たちという存在があるんでしょうね。

ん~深いお話ですね!

_ 矢菱虎犇 ― 2010-11-23 01時45分52秒

これ、ありますよ。小学生の頃ってなんかこういう友だち関係がワクワクしてました。なんか純粋に好きって感じだったなぁ。そして嫌いな子はなんか無条件に嫌いだったもんなぁ。
それにしても、このお話は登場人物にしてもプレゼントのアイテムにしてもどんどんつなげていくことができそうですね。
僕も書くには書いたけど、どうもこうも自己完結しちまいました。
・・・よし、次行ってみよう!

競作ブログに早速、リンクしておきましたよ~!

_ 星鉄さんへ ― 2010-11-23 07時10分27秒

そうそう、後悔っていうのは文字にするとたった2文字ですけど、もどかしい思い出はたくさんありますね。
これもそのひとつです。
あ、星さん、これ矢菱さんのクリスマス競作企画のために書いたお話しなんですよ。
星さんも参加してみませんか?
詳細は、右のコメント一覧の下にあるサンタの格好したおじさんのイラストをクリックしてみてくださいね。

_ 矢菱さんへ ― 2010-11-23 07時18分38秒

いやはや書きましたあ。
なんとなく交差しやすいようにって意識して書いてみました。
現在と過去。
登場人物。
アイテム。
とらえずなので、おもいっきりそういうのを意識したんですけど、よかったでしょうか?
子供って残酷ですね。
高校生とかの話しになると爽やかだけどやることが倫理的になってしまうので、やめました。
次はみなさんの作品に合わせて書いてみたいと思いま~す。

_ haru ― 2010-11-23 09時52分23秒

ヴァッキーノさんの短編の続きを勝手に書かせてもらいました。
よろしかったら、読んでやって下さい。
でも、初めての短編です。へたくそでも怒らないでくださいね!
お願いします。

_ haruさんへ ― 2010-11-23 09時57分55秒

うほほーい!(アラレちゃん風)
すごいっすねえ!
クリスマス企画に続々参加です。
>へたくそでも怒らないでくださいね!
ごほんごほん。
それは、ボクのセリフです(笑)

_ りんさん ― 2010-11-24 17時35分01秒

あれ?もうふたつも書いてたんですね。
こりゃあのんびりしていられないな~
続きのharuさんのお話も読みました。
見事な連携ですね。
私もオルゴールを使った話を考えています。
そのうちアップしますね。忘れられないうちに(笑)

_ おりんさんへ ― 2010-11-24 19時09分13秒

やっぱ、いくらなんでも突っ走りすぎですかねえ(笑)
あえて、リンクさせずに書くってのもいいかもしれませんね。
で、誰かにリンクしてもらうという感じ。
でも、おりんさんは、きっとうまい具合にリンクさせちゃうんだろうなあ。
だって、りんさんってくらいですから。
りんさん、りんさん、りんさん・・・・・・りんくん、リンクン、リンク!
ね!(笑)

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