【朝】


千夏、まだ寝てる。
･･････憂鬱だなあ。
モテるのは、悪い気はしないけど、あんまりしつこいと、なんだか気味悪いわ。
何ていったかな･･････ハヤミっていったっけ？
しつこい男だわ。

さてと、今朝は私がご飯を作る番だね。
ナポリタンでいいかな。
魚肉ソーセージで。
たまねぎ、たまねぎっと。

「･･････いい匂～い」
「あ、お早う、千夏」
「オッス！　ケチャップの甘酸っぱい香りに釣られて、起きてきちゃった」

千夏って、男っぽいよねえ。
千夏が女じゃなくて、男だったら、私、惚れてるかもしれない。

「ねえ、彩子。アンタ、まだアノ男に言い寄られてんの？」
「うん、そうなのよ。話しかけられたから、ちょっと会話しただけなのに、それからずっとだもん」
「なんだか、気持ち悪いよねえ。どうにかしないといけないんじゃない？」
「そうなんだけど･･････お店の中じゃ、相手はやっぱお客って立場だし」
「そういうウジウジじた態度がダメなのよ。今度来たら、ハッキリ言ってやんなよ！」

「う、うん」
「だから、そういう曖昧なのがダメなんだって。もしかして、マンザラでもないの？」
「ううん、そうじゃないって！」

「あのね、最近そういう男が増えてんのよ。で、どんどんエスカレートしていって、最後にはストーカーになって、大変な事件に発展したりするんだから」
「えー！　怖いなあ。･･････どうしよう」

「もう！　わかった。ルームメイトのために、私がひと肌脱いであげる！　警察官としての魂がうずくわ～」
「千夏がお店に来てくれたら、助かるよ。ありがとう」
「任せなって。いざとなったら、ミニスカ・ポリスの逮捕術で、ケリ入れて、そいつのこと押さえ込んでやるから！」

でも、一方的にやっつけちゃってもいいのかなあ。
どうなんだろう？
ま、ここは千夏に任せてみよう。
警察官なんだし！
きっとなんとかしてくれる。

「彩子の作ったスパゲッティ、すげえウメェ！」
「ホント？　ありがとう」
千夏って、そのへんの男より、ずっと男らしいわねえ。


【昼】


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