命の恩人(『ごたごた気流』より)2010-11-06


青信号の横断歩道を渡っていると、突然、目の前を歩く女性めがけて、信号無視のスポーツカーが、突っ込んできた!

女性は、恐怖で身動きできない。
「危ない!」
僕は咄嗟に女性を抱きかかえ、転がるようにしてその場から離れた。
間一髪。
スポーツカーを運転していたリーゼントの運転手は、チラッとこっちを見たが、そのままエンジン音とともに消えた。

「あ、ありがとうございます」
髪をかき上げ、うるんだ瞳の女性が、荒い息で言った。

「いえ、それにしても危ないところでしたね」
「はい。あなたは命の恩人です」
そう言って、女性は立ちあがり、洋服の汚れをハンカチで払った。

僕も立ち上がろうとしたが、足に激痛が走った。
「イテっ」
どうやら女性を助けた時、くじいてしまったらしい。

「私のせいで、お怪我まで負わせてしまって。なんてお礼を言ったらいいか。本当にごめんなさい。・・・・・・あ、そうだわ。私の家に来てください。手当をしますから」
女性は、僕の腕を掴んで、スーツの皺を伸ばしてくれた。
「いえ、そんなことしてもらうわけには・・・・・・」
「でも、お怪我もさせて、スーツに傷までつけてしまったし。すぐそこですから。なにかお礼をしないと気が済みません」

あまりにもしつこいものだから、僕は女性の住んでいるマンションへお邪魔することにした。
「一人暮らしなもので、散らかってますが」
そう言って、女性は恥ずかしそうに笑った。
しかし、部屋の中はとてもよく整っていて、必要最小限の家具が、機能的に配置され、アロマのようないい香りが漂っていた。

女性は、僕の足に湿布をして、スーツのほつれを縫ってくれた。
「本当にありがとうございます。私、あのまま死んでしまうかと思いました」
そう言って、女性は着ている洋服を全部脱いで、下着姿になった。
「なにも、お礼するものがないので、私の体でお礼させていただきます。 私を好きにしてください」
「え? しかし、いくら命の恩人だからって、ここまでしなくても・・・・・・」
僕は驚いたが、女性が僕のワイシャツを脱がせ、ジッパーを下ろし始めたので、まあいいかという気持ちになった。

「あのままだと、私は死んでいたんです。これから先の命は、オマケみたいなものですから、あなたに全部捧げます。・・・・・・はい、どうぞ!」
女性はそう言って、ベッドへ行くと、そこに置いていたクマのぬいぐるみを床に蹴飛ばしすと、ベッドの真ん中で、僕に大きくて白い桃みたいな尻を突き出して、両手で広げて見せた。

僕は、遠慮なく女性へ挿入した。
「あぁ! いいわあ!」

気持ちよくなっていると、女性の部屋に誰かが乱暴に入って来た。
「てめえ!」
振り返ると、さっきのスポーツカーを運転していたリーゼントの男だ。

「あ! どうしてお前が!? ・・・・・・ああ!」
僕は驚いた拍子に女性の中にイッてしまった。
「あ~ん! 私、まだだったのに~!」
そう言って、リーゼントの男をあざ笑うかのように女性は腰を動かし続けた。

「ちくしょー! 俺のことを散々弄びやがって! お前みたいな淫売、今度こそぶっ殺してやる!」
リーゼントが、懐からナイフを取り出して、女性と僕の方へ突進してきた。

しかし、クマのぬいぐるみに足を絡ませて、コケてしまって、その拍子に持っていたナイフを自分の喉元に突き刺して絶命してしまった。

「あーあ、死んじゃったわ。バカな男」
そう言って、女性は腰を振るのをやめ、僕のペニスを自分の中から引き抜いた。
そして、急に冷たい態度になって、服を着始めた。

「あなた、もう帰ってちょうだい」
女性は、僕の脱いだものを全部投げつけて、そう言った。
「え? でも、命の恩人だからって・・・・・・」
僕は、焦った。

「あなたバカじゃないの? いつまでも、命の恩人ヅラしてんじゃないわよ! 刺し殺されそうになった私を助けてくれたのは、彼よ!」
そう言うと女性は、クマのぬいぐるみを抱き寄せ、淫猥に悶え始めた。


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コメント

_ 矢菱虎犇 ― 2010-11-06 22時21分03秒

ヒッチコックもビックリコックリの巻きこまれ型サスペンス劇場ですねぇ。女の都合のままに翻弄される「僕」はかわいそうなような、まぁやることはやったのでよかったような・・・
僕は今年になってヒッチコックをまとめて見ているんですけど、昔だからエッチな描写はないんですけど、エロな意味をふくんでいそうな場面って多いんですよねぇ。だからヒッチコックの再映画化とかパロディって必ずエッチ。

_ またたび矢菱さんへ ― 2010-11-06 22時43分24秒

ボクの場合、ヒッチコックならぬ
エッチコックっす!(笑)
熊倉さんの声でヒッチコック劇場観たいなあ。
そんなわけで、今回はエッチコックでしたねえ。
たいていの大人はエッチをしてんのに、やっぱ露骨に描写されたりすると、引いちゃうんですよね。
本当はもっと過激に刺激ックスな描写が書けたらいいのにと思うんですけど、経験が足りないもんで、はい(汗)
矢菱さんもあまり無理せず、
お、お体にはくれぐれもご自慰、いえご自愛ください。

_ tatsu ― 2010-11-07 00時48分24秒

自分はスポーツでも見るより自分でやるのが好きな方です。

下ネタもパスする方ですが
こういうのをムッツリXXというのですかね。

_ hiro1468 ― 2010-11-07 01時05分50秒

翻弄されている主人公、あざ笑うかのように弄ぶ女。
それをショートショートとして描くヴァッキーノさん。
うーん、えぐい。(←褒めてるんですよ!

_ tatsuさんへ ― 2010-11-07 06時44分43秒

下ネタは、酔っ払ってる時だと神聖なもののように感じるんですけど
朝だと、ムッツリですねえ(笑)
世界には男と女しかいないって言いますから、まあ究極的には
なんでもかんでも下ネタになっちまうんでしょうね~。

>見るより自分でやるのが好き
むぷぷぷぷ。

_ hiro1468さんへ ― 2010-11-07 06時50分09秒

こういうエッチなものを書くときは、その描写だけでギンギンきちゃうようなものじゃなきゃダメなんだと思うんですけど、ボクの場合、なかなかそこまで官能エロスっぽくならないんですよね。
こんどこそは、もっとエグいやつ書いてみますよ!(笑)

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