岐阜か、徳島あたりの山。
ずいぶん登ったつもりなのに、見下ろすと街がまだすぐそこにある。
かなりの疲労感だ。

神社の境内があって、そこの団子屋で、休憩することにする。
切り株のような椅子に座ろうとしたが、長年の風雨にさらされていて、とても汚い。

だけど、座らないのも店員に嫌味な客だという印象を与えかねないので、数センチ腰を浮かせて、座ったふりをする。

｢いらっしゃい！｣
店員が、厨房から出てくる。
中年の女性。
豊満な体つきだ。
厨房が熱気で暑いのか、薄手のランニングシャツを着ている。
胸をユサユサと揺らせて、乳首が透けて見える。

汗が、顔を覆い、髪の毛が頬に張り付いている。
滴り落ちる汗を、片手で拭いながら、注文を取る。
｢なんにしましょう？｣
｢ここの名物はなんですか？｣
｢そりゃもう、地震に決まってますよ｣
｢地震？｣
その時に、脇の下が見える。

脇には、チャックが付いていて、僕は思わずそのチャックを開けてみる。
ジーという、ジッパー独特の音が、やたら響く。

脇から、あばら、腹部へとチャックがゆっくりと開いていく。
店員は、いやらしい目つきで、僕のその行為をみつめながら、何事もなかったかのように、注文を取る。
｢地震蕎麦です｣
｢じゃあ、それ、ひとつ｣

僕は、そう言いながら、店員の脇から覗くチャックを全部開けると、店員の体半分が、ぱっくりと開く。


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