金子 純子(28歳)2011-03-04


【朝】

亜紀、なんてかわいい子なの。
親バカって言われてもいい。
この子が私の子に産まれてきてくれて、本当によかったわ。

「亜紀、おはよう!」
「・・・・・・うーん。あ、ママ、おはよう!」
寝起きの顔もかわいいわ。
赤ちゃんのころから、亜紀の寝顔はぜんぜん変わってないのよ。

「どうしたの? ママ」
「うふふ。亜紀、お誕生日おめでと!」
大きくなったわね。

「わーい! 今日はアキのおたんじょうびだぁ!」
「亜紀はいくつになったのかな?」
「えーとねえ。えーと。ひとつ、ふたつ・・・・・・よっつ!」
まあ、小さな指。
かわいい。

さて、今日は亜紀のお誕生日ですから、いつもよりもっとステキな1日にしなくちゃね。
「亜紀、今日は何がしたい?」
「えーとねえ。えーと。パパに会いたいなあ」
哲也に?

「パパは、忙しいからね」
「でも、アキ、パパとママとお誕生日がしたい」
哲也、亜紀の誕生日だってこと憶えてるかしら?
そんなに仕事が忙しいの?

「・・・・・・パパはね、お仕事がとっても忙しいから、今朝もおウチにいないけれど、きっと夜には帰ってくると思うわ。だから、それまでママと一緒に楽しく過ごしましょ?」
「うん!」

思えば、もう亜紀が産まれてから4年の月日が流れたのね。
亜紀ったら、最後まで逆子だったから、帝王切開で産んだけど、これが江戸時代だったら、亜紀は産まれてこなかったのよね。

こんなにかわいい子が、この世にいないなんて、私、考えられないわ。
お腹の傷跡は、私の勲章よ。
医学の進歩と生命の神秘に感謝だわ。

「亜紀、今日はどっかお出かけしましょ」
「わーい! じゃあ、アキはカラオケ行きたいなあ!」
「カラオケ? お歌を唄いたいの?」
「うん!」

そうだわ、母子手帳を見てみましょ。
・・・・・・2,677グラム。
なんて小さかったんでしょう。

「ママ、なに見てるの?」
「ほら、亜紀、見てごらん。産まれたばかり亜紀の手形と足形よ。小さいでしょう?」
「わー! アキのおてて、小さいねえ」

こんなに小さかった亜紀が、カラオケをやりたいって思うくらい大きくなったのね。
スゴイわ。
今日は、亜紀の誕生日だもの、楽しまなくちゃ。

「ようし! 今日はママもカラオケでハッスルしちゃうわよ!」
「やったあ、ママとデュエットだあ!」

哲也だって、亜紀の誕生日くらい、ウチに帰って来てくれるわよね。


【昼】


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コメント

_ haru ― 2011-03-04 21時20分01秒

4歳の女の子って可愛い盛りだよね。4歳でカラオケかー……。
そういえば、去年の忘年会以来カラオケに行ってないなぁ~。。。
「ライオンは寝ている」唄いに行きたくなっちゃうな。

TVでやってたけど、女の子はパパとの関係が、将来の異性とのつきあいに
影響するんだって。ホントかなー?
あ、ヴァッキーノさんに聞いてもヴァッキーノさんは男の子だった。。。

_ haruさんへ ― 2011-03-04 22時50分14秒

両親って、大切なんでしょうね。
まあ、最初に出会う存在が両親ですもんね。
男と女が出会って、その犠牲(報い)、報酬といったら楽天的すぎるかもしれませんが
そういう存在が子供なんでしょうから。
日々の生活が、関係性を、まるでウイスキー・オン・ザ・ロックの氷が少しずつ溶けて
薄味になっていくように、薄めていくことに気づかない。
親子って、そういうものかもしれません。

_ もぐら ― 2011-03-04 23時20分28秒

純子さん・・・28歳・・・ハッスル・・・。

ゴメン つっこんじゃった。(^^;ゞ

_ もぐらさんへ ― 2011-03-05 07時18分04秒

>ハッスル
わーい!
もぐらさん、よくこの細かい昭和の死語に気がついてくれましたねえ。
こういう言葉をちょいちょい入れたりしますんで、
お見逃しなく!

ところで、もぐらさん、まだ18人くらいしか登場してませんけど
これから、もし、好きなキャラが登場したりしたら、
いつかまた朗読してください!(懇願)

_ りんさん ― 2011-03-06 00時06分10秒

子供は可愛いからね~。
この人の気持ちよくわかりますよ。
やっと共感できるキャラが出てきました。
4歳でもカラオケ行くんですね。
何歌うんだろう。

_ おりんさんへ ― 2011-03-06 07時25分07秒

>やっと共感できるキャラ
わーい!
やったあ!
なかなかそう言ってもらえるキャラが出てこないもんで、ハラハラしてました。
このまま、誰も共感してくれないで、
最終的には孤独な新規記事更新とかになったら
どうしようかと不安な毎日です(笑)

なにはともあれ、よろしくお願いします。

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