【朝】

「おはよう・・・・・・この匂い・・・・・・ねえ、あなた、まさか・・・・・・また？」 また、朝からたこ焼きなの？！
勘弁してよ～。

「なにが、まさかだバカ野郎。オイラの女房になったからにゃあ、日本一、いや、世界一のたこ焼きができるまで、朝はオイラの傑作オリジナルたこ焼きの試食だバカ野郎」

誠って、正真正銘のたこ焼きバカね。
なんでこんなもんに、そこまで人生を賭けられるのかしら。
この前は、スルメいかを入れたたこ焼き作ってたし。。。

いか焼きじゃんって話しよね、まったく。

｢おい、美紅。オイラ今夜、飲み会あっからよ。晩飯いらねえぞ馬鹿野郎｣
｢え？　そうなの？｣
やったあ！

久しぶりに外食ができる～。
ファミレス行って、腹いっぱい食べるわよ～。
もう、粉ものはイヤ。

｢ママ～。萌、絵描きさんになりたーい。そんでね、この島のみーんなのお顔を描くの～｣
｢絵描き？　萌、絵描きって芸術家ってことよ。じゃあ、芸大に入らなくちゃならないわよ｣
「ゲーダイ？」

「そう。まずは私立ね。やっぱり萌は、私立行かなきゃね」
「わーい！　萌、私立に行く～！」
すごいわ。
誠と私の遺伝子でできた萌が、天才芸術家になったら、どうしよう。

色紙１枚チャチャチャっと描いただけで、すごい価値があったりして。
そうしたら、いくらでもパチンコ台を買えるわネ！

もう、「ゴールデン・バレリーナ」や「綱取り物語」なんてパチンコ台、どんな田舎の潰れかけたパチンコ屋行ったって、置いてないわよ。
せっかく必勝法をマスターしたって、なんの意味もないじゃない。

まあ、名作っていえば、名作なんだけど。
でも・・・・・・。
そっかあ。

ウダツの上がらない狂ったたこ焼き亭主でも、そういう遺伝子が隠れていたかあ。

萌、あなたなら、天才芸術家になれるわ。
そして、大金持ちになるのよ！

・・・・・・でも、まあそんな先の話は置いといて。

ファミレスで外食の方が、近々の目標よね。
まずは、目先の満足を追求しないとだわ！



【昼】


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