【朝】

・・・・・・ｙ＝ａｘ2＋ｂｘ＋ｃのグラフが次の図のようになるとき、ａ，ｂ，ｃ，ｂ２－４ａｃの符号を求めなさい。

右上がりの関数・・・・・・。
右下がりのテンション。

もう勉強なんてしたくない。
頭がボーっとしてきた。

もう１２時間も教科書とノートしか見てない。
半日ぶっ通しで勉強だなんて。

パパ、異常よ。
そんなにわたしに期待してどうなるの？
わたしの将来を好き勝手に決めたいわけ？

パパなんて大嫌い。
自分は、大学を主席で卒業したかもしれないけど、それはわたしじゃい。
わたしは、梓。
パパとは違うの。

勉強なんてイヤ！

「おはよう梓、朝ご飯よ」
「ママ、このままだとわたし、狂いそうよ」

「今、がんばれば、大人になってからパパみたいに偉くなれるのよ、梓」
「わたし、偉くなんてなりたくない！　普通に遊びたい！　ママまでそんなこと言うの？　だったら、わたしこんな家出て行くから！」

本気なんだからね。
ママだけは、わたしの味方だと思ってたのに、大人なんてみんな同じじゃない。

「梓、そんなこと言わないで。パパだって、梓のこと憎くて言ってるわけじゃないんだから。・・・・・・あ、それに今日は、いとしの佐野先生が勉強教えに来てくれる日じゃないの。・・・・・・がんばろう、ね？」

そうだ。
佐野先生なら、わたしのことわかってくれる。
だって、この前、初デートの時、展望台で、わたしのこと愛してるって言ってくれたんだもの。

愛のチカラで、わたしのことをどこかへ連れて行ってくれるかもしれない。
佐野先生・・・・・・。

《受信中》

「あ、佐野先生からメールだ」

《おはよう、佐野です。今日は梓に会える日だね。最近なんだか元気がないみたいだけど、どうしたのかな？　大丈夫？　また増田さんに何か言われたの？》

ほら、やっぱり佐野先生だ！
わたしの思いがちゃんと伝わってる。
愛ってこういうことなのね。

《佐野先生、おはようございます！　わたしは大丈夫です。だけど、早く先生に会いたいです。もうパパもママも信じられないから》

《送信中》

《受信中》

《梓、僕にできることがあったら、なんでも言って。僕は君の家庭教師っていうだけじゃなくて、恋人なんだから》

勉強なんかできなくたっていい。
わたしは、佐野先生のお嫁さんになるんだ。
そして、２人で幸せな家庭を築く。

そうよ。
どうして、パパはそれがわからないの？

「こら、梓！　なにさっきからボンヤリしとるんだ。ボンヤリする時間があったら、英語の単語のひとつやふたつ覚えられるだろ！　時間は待ってはくれないんだぞ」

パパ！
また勝手に部屋に入ってきて！
もう、イヤ！

「パパなんて大嫌い！」
「なんだと？　梓！　ちょっと待ちなさい！」
「学校行く時間だから、離して！」
もう知らない！
佐野先生、助けて。


【昼】


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