【朝】


「・・・・・・ねえ、秀明」
「ん？　ああ、おはよう」
なんだよ、朝っぱらから、真剣な顔して。

「秀明、寝言言ってたわよ」
寝言？
俺、どんな夢見てたっけ？

「寝言くらい言うこともあるよ。疲れているんだから」
「だけど、叫んでたんだもん。『踏んで、もっと踏んでください！』って」
ま、まずい！
思い出した。
そう言われたら、今朝の夢、見知らぬ気の強そうな金髪の女に、股間をぐりぐりって、踏みつけられながら、罵倒されてる夢を見たんだ！

「・・・・・・つ、疲れてるから、タイ式マッサージをしてもらってる夢を見たんだよ」
「タイ式マッサージ？」
「そ、そう。うつ伏せになって、その上を踏みつけながらマッサージしていくやつ。知らない？」
「へえ、秀明も疲れてるのねえ。マッサージしてあげようか？」

「いいよ。ただの夢なんだから」
「でも、秀明ってもしかして、マゾなんじゃないかって思っちゃった」
え？
マ、マゾ？！
うう、里佳子、な、なんでそんなワードを知ってるんだ？

「んなわけないだろ」
「そうよね」
・・・・・・いきなり、マゾなんて言うなよ。
ドキっとしちゃったじゃないか。

「里佳子は、マゾってなんだと思うんだよ」
「・・・・・・マゾ？　うーん。女王様がいて、奴隷みたいなヤツを鞭とかでビシビシやったりする感じ？」

むああ・・・・・・。
鞭で、ケツを。
痛そうだなあ。
打たれたトコが、真っ赤になって、ミミズ腫れになってくるんだ。
鎖に吊るされて・・・・・・。

「秀明、どうしたの？　陶酔しきった顔して。やっぱ、マゾなんでしょ」
「バカ。・・・・・・つ、疲れてんだって！」
このままじゃ、里佳子に、俺の変態な内面がバレるな。

バスルームに隠してあるロウソク。
どこか別の場所に移動させたほうがいいかもな。

あ、も、もしかして、バスルームの床に垂れたロウソクが残ってたりして。
まずいぞ。
早いトコ、処置しないと。

「なんだか、寝汗かいちゃったなあ。・・・・・・俺、シャワー浴びてくるよ」


【昼】


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