【朝】


う～、寝ても醒めてもアイドルアイドルだぜ！
オレってアイドル脳が一般人より発達してんのかな？
アイドル脳なんて、ないんだけどよ。

よっしゃ、夢の中で完璧なまでにマスターした
後藤みづき、通称みづＰの振り付けをやってみよう。

ＤＶＤをセットして・・・・・・。
ガラパゴス・ボディ～後藤みづき～

みづＰ！

まずは、ハッピを着てっと。

《山下達郎のラブランド・アイランドをカヴァーします！》
「いいぞ。前奏からのこのステップ。きゃわいい！」

ステップしながら、髪をかきあげて。
それから、ターン。
もう一度、ターン。

おーラブラン！♪
おーアイラン！♪
アイラビューアイラビュ♪

「大吉、朝からなに大声で歌ってるの？」
か、母ちゃん！

「きゅ、急に入ってくんなよ～」
「だって、ドタドタうるさいんだもの。お母さんは、大吉の趣味だから別にいいけど、そんなピンクのハッピなんか着てたら、お父さんにまた怒られるわよ」

「趣味とかそういう小さいもんじゃないんだよ。オレのはアイドル研究なの」
「まあ、どっちでもいいから、早くおいで、ご飯だから」

まったく、わかってねえな。
アイドル道を極めるってことがどういうことか。
みづＰの握手会には、欠かさず行ってるからね。

栄ちゃんがうらやましいよ。
みづＰが、お姉さんなんだからな。
毎日一緒にいるわけだろ？
すげぇよな。

アイドルと二人っきりで暮らすってどういう感じだろうな。
う～！
うらやましすぎる～！

それに比べて、オレの姉貴はなあ。
どうしようもねえぜ、まったく。

「なによ、大吉、アタシの顔になんかついてる？」
「んあ、なんでもねえよ・・・・・・ところで、姉貴、上杉さんとうまくやってんの？」

「うるさいわね。大吉には関係ないでしょ」
なんだよ、バカ姉。

「大吉、ちょっとおいで」
「なんだよ、母ちゃん」
なんなんだよ。
今、メシ食ってるところじゃん。

「あんた、今日バイトだろ？」
「ああ、帰り遅いよ」
「今日はね、由美にとって大事な日なんだから。お前も少しは気を遣ってやっておくれよ」

ああ、そっかそっか。
今日は上杉さんが、挨拶に来る日か。
それで、姉貴はあんなにナーバスになってんだな。

上杉さんって、どんな人なんだろう？
オレも会ってみてえな。
もし、みづＰのファンだったら、話しも弾んじゃうかもしれねえし。

学校行く前に、アイドル雑誌を読みあさるぞ。
どれどれ？
・・・・・・ふむふむ。
これから、注目されそうなアイドルはっと。
ザ・ピーナッツ？
んー。
なるほど。
双子か。

双子だからピーナッツなんだ。
３つ子だったらザ・枝豆か？

よし、メモメモ。


【昼】


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