三村 千夏(22歳)2011-06-09


【朝】


逮捕術のトレーニングしないと。
明日は、いよいよ黒帯試験だもんね。

前突き!

小手返し!
手首をもっと柔軟にしないと。
ミニスカ・ポリスも大変だわ。

だけど、こんな小さな島で、逮捕術なんて使うことあるのかなあ?
でも、もし本土に転勤なんてことになったら、ゼッタイ必要よね。

特需が終わってからっていうもの、本土じゃ相当物騒な事件が多発してるからね。
自警団自体、いまや暴徒だもん。

本土難民特区なんかに行かされたら大変!
まして、地球防衛軍の下働きなんてイヤだしね。

ま、ほどほどにやって、試験をパスすれば、この島には、当分いれるだろうし。

お?
このニオイは?
彩子が朝飯作ってんだな?

「・・・・・・いい匂~い」
「あ、お早う、千夏」
「オッス! ケチャップの甘酸っぱい香りに釣られて、起きてきちゃった」

彩子はいいお嫁さんになるね。
エプロンが似合うもの。

「テーブルの上にあるもの見て」
「え? テーブルの上?」
なんだろう?

手紙?
「これ?」
「そう」

彩子さんへ・・・・・・だって。
「なにこれ、ラブレター? あ、もしかして、速水とかいうしつこい男?」
「そうなの・・・・・・熱心なのはいいんだけど」

「よくないって! なにノンキなこと言ってんのよ!」
手紙が届くってことは、ここの住所も掌握済みってことじゃん。
ヤバイよ。
これ以上、この男に関わったら、ダメ、ゼッタイ!

「読む? 開けていいよ」

『彩子さんへ
あなたのことを愛してます。
・・・・・・なんて言ったら、あなたは驚かれるでしょうね。
表現がストレートすぎるから。
だけど、これが僕の偽らざる気持ちです。
彩子さんの気持ちを聞きたいけれど、僕は怖い。
もし、この愛が叶ってしまったら、僕はうれしくて
太陽に照らされ、虫眼鏡で日光を一点に集中させられた
蟻のように、一瞬にしてハートが焼け焦げてしまいそうだから・・・・・』

「な、なにこれ? キモイよ。蟻とかって」
「でしょ、どうしよう・・・・・・」
どうしようじゃないって。
断んなさいよ、キッパリと。

「もう! わかった。ルームメイトのために、私がひと肌脱いであげる! 警察官としての魂がうずくわ~」
「千夏がお店に来てくれたら、助かるよ。ありがとう」
「任せなって。いざとなったら、ミニスカ・ポリスの逮捕術で、ケリ入れて、そいつのこと押さえ込んでやるから!」

あ、そういえば、部長が自費出版した本、読めって言われてたけど
すっかり読むの忘れてた!
どうしよう。
ヘンテコなラブレターより、そっちの方が大事だった。

部長に、感想聞かれたら、なんて応えたらいいんだ?

しかし、ページをめくる気がしない本だよ、コレ。

『交番人生~警察官として、父親として、そして一人の人間として~』

ゼッタイくだらないわ。
なんか、今日は朝からくだらないものばっかし読まされる運命ねえ。



【昼】

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コメント

_ 海野久実 ― 2011-06-09 22時03分21秒

え?なんだ?
僕って、山田 和夫(47歳)が最新記事だと思って昨日コメントしてたんですね。
うそー
なんだか時間の感覚が狂っちゃって、時の迷子になっちゃったのかと思いました。
混沌とした時間(とき)の迷宮を彷徨う少年(誰が少年やねん)

え?なんだ僕。
これを読んでいると、少し速水に感情移入しちゃってるぞ。
「彩子さんが、せっかく熱心なのはいいんだけどって言ってくれてるのに、千夏の野郎。ちょっときれいなイッコーみたいな顔しやがって」とか、「彩子さんはどうしようって、迷ってるのに余計な事言いやがって」とか、考えている自分がどこかにいます。
速水がこの話の前面に出てたらそんな事はないんでしょうけどね。

この世界の重要なキーワードが豊富にちりばめられていますねー
この島の状況がだんだんくっきり浮かんでくるようです。

_ 海野さんへ ― 2011-06-09 22時15分54秒

パソコンがなおってから、
うれしくって、ほぼ毎日更新してるんですよね

>これを読んでいると、少し速水に感情移入しちゃってるぞ。
おお!
すごいですね。
そうそう、それが狙いなんですよ。
いやあ、海野さんは言い当てますねえ。

速水と彩子はもしかしたら、もしかするかもしれないんですけど
もしかしたら、千夏のせいで、もしかしなくなるかもしれない。
そんなグループです。

>この世界の重要なキーワードが豊富にちりばめられて
またまた言い当てられました!
今日は、ラッキーデーです。
ありがとうございます!

_ 矢菱虎犇 ― 2011-06-10 01時35分56秒

あーナポリタン!魚肉ソーセージ入り、タマネギを炒める香り、ケチャップの香り。
・・・そういうところから、以前読んだ状況だって思い出すボクは食いしん坊さんだなぁ。
そういうわけで、今回登場している石野彩子、速水賢也も読み直しました。
あ、ボクは両方コメント書いてるんだ。あのカンチガイ男の相手がナポリタンの彩子さんかぁ。なんか長編小説を読んでいる途中で、登場人物が誰なのか見失って数ページ前をめくっている、そんな感じです。どんどんつながるのが楽しくなってきそう!

_ もぐら ― 2011-06-10 15時44分13秒

あぁ よかった。
みなさん 前いったり後ろいったりして読み返してるんだ。
私だけ人物相関図がつかめてないのかと・・・。( ;^^)ヘ..
しかも読み返してミツルセンセのところにコメントしたりしてるし。
ヴァッキーノさん ごめんねー。
前にharuさんに教えてもらった読み方してるから、たまにコメントを
変なとこに書き込んでるかも。
でも haruさんに教えてもらってよかった。
ヴァッキーノさん 100人までがんばってー。

_ りんさん ― 2011-06-10 18時11分16秒

ああ、この人がカッコいい千夏さんでしたか。
ほどよく焼けてますね。
さすがミニスカポリス。可愛いだけじゃないのがいいですね。
>交番人生… 私も読みたくないなあ…

_ 矢菱さんへ ― 2011-06-10 19時01分05秒

彩子の朝のナポリタン、覚えててくれました?
ありがとうございます!

いろんな人たちがつながっていく
新感覚オムニバス・ブログなんですけども
これって、ちゃんと終わるのかなあ。
ここまでやっておいて
途中で終わったら、ヤバイっすよね。
死なない限り続けるつもりです。(笑)

_ もぐらさんへ ― 2011-06-10 19時07分25秒

もぐらさん、実は作者であるところの
ヴァッキーノも毎回行ったり来たり
行きつ戻りつしながらブログ更新してるんです(笑)
だから、大丈夫。
100人全部、同時進行してるんですから
どっから読んでもまだ2108年7月13日の金曜日の朝なんですから。

_ おりんさんへ ― 2011-06-10 19時12分40秒

女の人って、ボーイッシュな女性が
好きですよね?
ハツラツとしてて、快活な。
気の強い女の人はハキハキしてて
いいですね。
センパイへの憧れみたいな。

千夏の場合、正義感で恋愛を解決しようとするところに問題がありそうです。

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